吉川デンタルブログ

2006 日本国際歯科大会 歯科衛生士シンポジウムに参加して

2012.03.09

 今年10月に横浜で日本国際歯科大会が催されました。その中の歯科衛生士シンポジウムに2日間参加させていただくことができました。全国で活躍されている多くの歯科衛生士の方々の優れた講演が2日間にわたり時間余すことなくプログラムされており、どの講演を聴くか本当に迷う内容ばかりでした。

 その中から選んで聴いた中に、心に残る講演がありました。

 演題は「口腔内外診査」。演者はアメリカの歯科衛生士のライセンスも取得され、現在は日本で活躍されているベテラン衛生士の方でした。講演内容はと言うと、患者様が定期検診に来院されたときに、歯や歯肉だけではなく、付近のリンパ節の触診や粘膜・口唇の触診、視診を具体的にどのように行うかというものだったのですが、その講演の途中、別の歯科衛生士の方がある体験談をお話になりました。その体験談とは歯科衛生士Aさんがある日口腔内外診査を行っておられたときの事でした。

 ある患者様の舌に小さな「デキモノ」を見つけられたそうです。患者様ご本人は気づかれておらず、症状は特になかったそうです。Aさんはこの粘膜にできた物の大きさ、性状などをカルテに記し、担当医にも相談の上一ヶ月後まで様子を観て、そのときに無くなっていなければ専門医に紹介することにされました。そして一ヵ月後再びその患者様が来院されたとき、その「デキモノ」は消失することなくその位置にありました。Aさんは担当医に依頼し、患者様は紹介で口腔外科を受診されました。

 そして、しばらくの月日が経過し、再びその患者様が来院されたときの一言が「私はAさんに命を救っていただきました。ずっとあなたに診ていてもらってよかったです。」でした。

 その「デキモノ」は実は舌癌だったそうです。発見が早く、部分的な切除だけで済んだそうです。舌癌といえば、私も手術を見学した経験があるのですが、舌は半分に切り取られ、術後は喋ることも食べることもできなくなり、それだけでなくリンパ節に転移しやすいために亡くなる方が多いのです。この患者様の感謝の気持ちは本当に切実なものだったと思います。

 「ずっとあなたに診ていてもらってよかった。」の一言に私は感動しました。患者様にこの言葉をいただくことが歯科衛生士として究極のように思えました。長い間一人の患者様を担当させていただいていると色んな事が起こると思います。そのときにいつもと違う小さな変化を見つけられるのは、メンテナンスで毎回患者様を診ている歯科衛生士でなければならないのだと痛感し、同時にいかに私の仕事が重いポジションにあるのかを再度認識させられました。患者様の命を救うこともできるかも知れないこの仕事に誇りも持てました。実際講演された演者の方も後でほとんど同じような体験談をお話されました。私にも起こりえる事であり、それ以降以前とは違った視点からも患者様の状態を診るように心がけて日々診療に取り組んでいます。

平成18年12月23日
歯科衛生士   江本ゆかり

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